トラスト1号地の樹木調査報告
 
 
 この樹木調査は、トラスト1号地の現状を把握し今後の管理のあり方を検討する資料
を作成するとともに、ボランティアスタッフの調査能力の養成、研修を兼ねて行ったもの
である。
 1号地ボランティアスタッフのみなさんの参加のもとに、樹木番号札の設置、樹木の同
定、位置の測定、データの集計を実施することができた。
 
     
樹木調査の概要
 調査地の樹木の生育状態を把握するため胸高直径(DBH)5p以上の全樹木の樹木
種を判定し、樹幹本数を求め各樹幹の胸高直径を測定し、樹木番号札を取り付けた。 
 また、樹木の位置を確定するため、三角測量法を用い、2点の杭からの距離を巻き尺
で測定した。
 これらのデータはパソコンに入力、集計及び図面の作成を行った。
 この結果、調査地内の樹種は31種、樹木本数は768本、樹幹本数は817本であった。
       樹木分布図
 
 
 作業の手順の概要は次のとおりである。
1 樹木名の判定及び樹木番号札の取り付け
  作業手順及び確認事項は次のとおりである。
 @ 直径5p以上の樹木は全て測定
 A 直径の測定の場所は地上130pの 部分を測定
 B 記録者は必ず復唱すること
 C データには月日と氏名を記入する
 D 後日訂正したら月日氏名を記録するE株立ちは1本とするが直径5p以上 の幹 
  は測定し、5p以下の幹は樹高 130p以上の幹は本数を記録する
 F 低地の樹木の測定が終わってから斜 面の測定を行う
 G 上記作業はブロック毎に行う
 
2 樹木位置の測定
  区画を13に設定、樹木の杭からの距離が最大50m程度になるようにした
  50mの巻き尺を使い、杭に0m点を押さえる者、樹木までの距離を測定する者、 
水平直線を確認する者、データを記録する者の4人を1組として測定した。
 
3 データの集計、分析
  パソコンでの集計を行うため、データベースソフトを開発した。
  データを入力し、樹木種類や胸高直径別などの集計を行い、それらを図面への表示
 を行った。
 
 
4 1993年の調査とのとの比較  ( )が2003年の調査結果
  1993年の調査は胸高直径(DBH)6p以上で行われているための、今回の調 
査結果のほうが樹木数が多くなっているが、比較すると変化の概略が把握できるよう
である。

 全樹木数は768(620)本で、その内訳は、次のとおりである。
落葉樹では

アカシデ  26(21) アカメガシワ  13(11)
イヌエンジュ    0( 1) イヌザクラ   9(12)
イヌシデ  52(51) ウワミズザクラ       0( 5)
ウメモドキ   1( 1) エゴノキ   45(52)
エノキ   41(44) カキノキ    1( 0)
クヌギ    3( 2) ケヤキ   55(53)
コナラ   21(23) コブシ   15(23)
セイヨウスズカケノキ    2( 0) ソメイヨシノ    2( 2)
ツタ    1( 0) トネリコ   20(15)
ハンノキ   17(12) ミズキ    3( 7)
ムクノキ   55(76)
 
 
常緑樹では、
アオキ             0( 1) アラカシ           1( 1)
サンゴジュ    2( 2) シュロ    0( 4)
シラカシ   49(71) シロダモ   59(132)
ネズミモチ   1( 0) ヒサカキ    9(28)
ヤブツバキ    3(11) ヤブニッケイ    3( 6)

 
針葉樹では、
スギ             44(27) ヒノキ            67(60)
 
  区画別分布状況一覧表
 
 
 植生の現況からみた森林の区分及び保全策 
 
◎ 竹林地区
  この地区はモウソウチクの竹林である。竹林は筍の間引き、伐採、施肥等の管 
理が行われた結果、竹林としての美観が作られ、下草も生えて来た。
  この状態を維持することが適当と思われるので、引き続き、古い竹幹を伐採す 
るとともに適当に施肥をし、更新を実施していく。
 
  
◎ 調査区番号11、12及び13地区
  この地区は竹林地区とはシラカシの境木で区分された区域で、ヒノキやスギが 
植林された地域である。竹林地区からのモウソウチクの侵入が防止され、広葉樹
 枯死木も整理された。モウソウチクに負けなかったスギ、ヒノキが残っている。 
 しかし、以前あった用水沿いのマダケの群落は見られない。
  昨年は落ち葉を集め落ち葉堆肥を作ったが良い堆肥が作ることができた。
  引き続き、モウソウチクを伐採し、植林されたスギ・ヒノキに適切な管理を施 し、
斜面林としての美観を回復するためコナラやシデ類など落葉性の樹木を補植の
必要がある。この際多様な鳥類相の復活や昆虫の復活が図られることが望ましい。
 
 
◎ 調査区番号8、9及び10地区
  樹木の伐採やチャの植栽などに利用されてきた地域である。
  ヒノキが台地上から台地斜面下部にかけて、コナラが台地上に植林されている。
  植林されたスギ・ヒノキに適切な管理を施し、斜面林としての美観を回復する 
ためコナラやシデ類など落葉性の樹木を補植し、落葉紅葉樹林を復元する。
  またアオキやシロダモなど常緑性の低木・亜高木は、林床植生の多様性の維持
 ・発展させるため、必要最小限のものを残し取り除くのが望ましい。
  この際個体数の少ない樹木や林縁部の樹木はある程度残し、多様な鳥類相の復
 活や昆虫の復活が図られる生息環境を維持・改善することとする。
 
◎ 調査区番号7及び8地区
  この地区は10年前はコナラが優占しシデ類をまじえた落葉紅葉樹林であった
 が、コナラが減少、シロダモが多くなっている。
  モウソウチクは伐採されているが、侵入は続いており引き続き伐採を行う必要
 がある。落葉広葉樹林を復活するため、コナラ、クヌギやシデ類を補植する必要
 がある。
◎ 調査区番号5及び6地区
  5地区は、かつてあったモウソウチクの竹林はなく、スギの枯死木が列をなし
 ている部分もなく高木が数本となっている様相を呈している。また、隣接地では
 落葉広葉樹が伐採され、日が差すようになった。
  6地区も、かつてあったモウソウチクの竹林はなく、侵入を防いでいる。
  樹木の数が多くあるが、若い樹木が多く半分以上の40本が10p未満で、エ
 ゴノキ、シロダモ、ムクノキなどが多くなっている
  しかし、数本の落葉樹高木が残されていることから、かつては落葉紅葉樹林で
 あったものと想像される。
  以前あった広葉樹の枯死木はなくなっている。
  今後、隣接の竹林からモウソウチクの侵入を防ぎ、落葉紅葉樹林の復元を目指
 していく
 
 
◎ 調査区番号1、2、3及び4地区
  この地区はトラスト1号地の中でも最も自然度の高い地域で、人手のほとんど
 加わっていない地域であったが、大径木が台風で倒され、また、隣接地での伐採
 が行われたため、明るい林となってきている。
  しかし、照葉樹を中心とした林となっており、原則手をつけず樹高を高く林内
 には枯死木あるいは半枯死木が点在した林とし、樹上棲の大小の鳥類に生活の場
 を提供できるようにしたい。
  自然状態で枯死・更新の進行ができるように、詳細な調査と長期的な観察を実
 施していきたい。
  したがってこの地区は隣地からのモウソウチクの侵入を防ぐ他は、原則として 
放置して置く。
 
 
  森林の保全については以上であるが、トラスト1号地を利用するに当たっては
 次の点に留意する必要がある。
 @ 5地区から13地区にかけての東側は台地斜面となっている。斜面に多くの
  人間が立ち 入ると土砂が移動し、本来の地形が損なわれてしまう。
   利用に当たっては原則として斜 面に立ち入らないこととし、必要な場合に
  限り崩壊防止等の措置をとって最小限の範囲 で利用する。
 A 1地区から4地区は原則として立入禁止とするのが望ましいが、自然観察の
  目的でその一部を利用するのは差し支えない。
 B 林内への自由な立ち入りは林床植生を破壊するばかりでなく、この林を生活
  場としている大小の動物を脅かすことになるので、利用に当たっては遊歩道を 
 設置し、原則として林内に立ち入らないこととする。
《植生調査参加者》
 合葉 恭也、赤井 清、梓 秀雄、厚澤 正治、石本 巌、遠藤 光男、梶間 幹一郎、
 佐々木 正典、鈴木 孝雄、鈴木 孝、武田 誠、田添 修二、田所 勇、西田 真希、

 原田 久男、本田 圭、本田ヤス、山根 和雄、
  
 
《データ集計作業担当》
  集計用ソフト作成 谷内 泰(ボランティアスタッフ外)